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緒形拳を追いかけて

 
総合評価 ★★★★

★★★★★  寄り添うということ
著者は20年、緒形拳に寄り添うようにして話を聞き取り、一冊に仕上げている。急いでインタビューしたものとは違ってインタビュアー―インタビュイーの信頼感があるのはさすがです。
原点としての「新国劇」への注目も正鵠を射ています。ゲスでない、独特の品のある大衆路線は緒形を際立てるものでした。
問題は二つ。ひとつは、宗教や思想というものへの掘り下げ方が浅いこと。熱心な大日本獅子吼会の信者だったことは、死後にクローズアップされたのであり、なおかつ本人もみだりにかたらなかったから無理はないのですが、『復讐するは我にあり』の裏側から照射したカトリック信者(榎津)や、やはり熱心な日蓮信者である北斎(『北斎漫画』)などの造形に無関係とは思えません。さらに、浅沼委員長刺殺事件での周囲への違和感は、貴重なエピソードですが、『ケイトンズヴィル事件の九人』でのベトナム戦争反対、『出雲の阿国』での労働と芸術の関係如何という有吉佐和子独自の問いかけの問題など、もっと話を聞いておいてほしかった。もうひとつは、テレビについて以外と総括的にしか扱えないこと。これは本数が厖大なわりに、ビデオが残ってないという資料的制約もありますが、巻末の出演リストから、ブラジル移民70年記念の日本テレビ「希望の大地」が抜けていたりする。ぜひ、増補版では補って欲しいところです。

★★★★★  往年のファンにとっては待ち望んでいた一冊
 知りたくてもなかなか知れない部分の、俳優そして人間緒形拳さんの人と成りが、作者の目を通して良く伝わってくる。又、巻末の作品一覧も非常に詳細にまとめられており、まだ見ていなかった作品や記憶の奥底にあったが思い出せなかった作品などを、つぶさに知ることが出来る。作者の緒形さんへの熱い思いに、少々ヤキモチすら感じる一冊。

★★★★★  緒形拳の心
 日本を代表する名優であり怪優でもある緒形拳。子どもの頃からの大ファンであるし、出演作の多さから彼のことはなんでも知っているような錯覚を持っていた。
 この本は、インタビュアーとしてまた友人として、緒形拳を長らく追いかけた著者の集大成である。器用そうでいて実は不器用、飄々としていて実はたくさんの計算の上に成り立つ彼の演技、そして彼を見出し育てた2人の恩師への尽きせぬ思い、そういったたくさんの「緒形拳」がこの中につまっている。

 一時期、私は彼の出演作選びに不満を持っていた。俳優としてすでに高い評価を受けているのだから、もっとよい作品を厳選してじっくりとやっていけばいいのにと思っていた。しかし彼にとっては、仕事をし続けることこそが俳優であり続けることだったのだ。これからも彼は精力的に出演しつづけるだろう。一観客として、まだまだ変身しつづける彼をじっくり見せていただこうと腹の据わった本。

 
緒形拳を追いかけて

参考価格: ¥ 2,520
  価 格: ¥ 2,520

在庫あり。
作者: 垣井 道弘
メーカーぴあ
 
単行本
 
 
 
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